認定第1号 日本遺産 国境の島 壱岐・対馬・五島 ?古代からの架け橋? ―壱岐島編―
平成27年4月24日に、壱岐・対馬・五島に残る史跡や文化財で構成されるストーリーが「日本遺産(Japan Heritage)」に認定されました。認定された日本遺産のキーワードは「国境の島」。
長崎県は古代より、朝鮮半島や中国大陸さらにはヨーロッパ諸国とのつながりを深め、各時代の歴史において重要な役割を果たしてきました。壱岐島からは、国特別史跡原の辻遺跡、国史跡壱岐古墳群や勝本城跡、市史跡カラカミ遺跡、市史跡生池城跡、国重要文化財原の辻遺跡出土資料1670点、双六古墳出土資料412点、笹塚古墳出土資料162点、内海湾、岳の辻の計10件がタイトルとなっている“古代からの架け橋”を物語る構成文化財となっています。構成文化財になった史跡や文化財及び名勝はどれも朝鮮半島や中国大陸との交流や交易によってつくられた歴史文化を物語っており、すべてにおいて国際色豊かな歴史背景を感じることができます。
長崎県内の約6割にあたる270基の古墳が壱岐島に集中し、保存整備が行われた古墳を含む数10基の古墳はいつでも石室内に入り見学することができます。また、島の最北端に位置する勝本城跡では築造から500年の月日を見守ってきた築城時の石垣がそのまま残っており、兵たちの歴史の息吹を感じることができます。国重要文化財の資料は平成22年3月に開館した壱岐市立一支国博物館に収蔵しており、常設展や企画展において逸品の数々をご覧にいただくことができます。中には原の辻遺跡で発見された人面石や笹塚古墳で発見された金銅製の亀形飾金具など壱岐島でしかみることができない国内唯一の資料も数多く存在します。
壱岐島では“しまごと博物館”のコンセプトのもと一支国博物館の運営を行っており、島内各地に残る古墳や文化財は屋外展示、一支国博物館は1つの展示室(屋内展示)と捉えています。一支国博物館の展示を見ただけでは壱岐の歴史の一端を見たにすぎず、島内にある屋外展示を併せて見ることで壱岐の歴史が完結するという広大なスケールで構成された展示空間が魅力です。
島内には日本遺産を含めたくさんの名所が残っており、行った先々で各時代の歴史を体感することができます。目で見るだけでなく、ダイレクトに心に響く壱岐の歴史を1人でも多く方々にご覧いただけるよう来館をお待ちしております。
壱岐市文化財課 学芸員 松見裕二